薬局で処方箋を受け取ったにも関わらず、「この薬は置いていないです」と言われ、調剤を拒否されたことはありませんか?
在庫がないのは仕方ないと思っても、薬剤師には調剤拒否してはいけない義務があります。
そこで、他の薬局に在庫確認をするのは薬剤師の仕事なのかについて詳しく解説します。
薬剤師の調剤義務とは?
- 薬剤師は患者の処方箋に基づいて調剤する義務がある
- 正当な理由なく調剤を拒否してはいけない
- 在庫がない場合は、他の薬局に在庫確認や取り寄せをするのが望ましい
薬剤師法第19条では、「薬剤師は、調剤の求めがあった場合には、正当な理由がなければ、これを拒んではならない」と定められています。
つまり、薬剤師には患者の処方箋に基づいて調剤する義務があり、正当な理由なく調剤を拒否してはいけないのです。
在庫がない場合は、他の薬局に在庫確認や取り寄せをするのが望ましいとされています。
ただし、在庫がないことを理由に調剤を拒否することは、正当な理由に当たるのでしょうか?
結論から言えば、在庫がないことのみを理由に調剤を拒否することは、正当な理由には当たりません。
薬剤師は在庫がない場合でも、他の薬局に在庫確認や取り寄せをするなどの対応をとる必要があるのです。
在庫がない場合、薬剤師はどのように対応すべき?
- 他の薬局に在庫確認や取り寄せをする
- 患者に事情を説明し、了承を得る
- 代替薬の提案や処方医への相談も検討する
薬剤師が在庫がない場合にとるべき対応としては、まず他の薬局に在庫確認や取り寄せをすることが挙げられます。
自局で在庫がなくても、他の薬局で在庫があれば、そちらから取り寄せることで調剤が可能になります。
ただし、取り寄せには時間がかかるため、患者にその旨を説明し、了承を得ることが重要です。
また、処方された薬と同等の効果が期待できる代替薬がある場合は、それを提案することも一つの選択肢です。
ただし、処方医の意図を確認し、了承を得ることが必要不可欠です。
どうしても調剤が難しい場合は、処方医に相談し、処方変更を検討してもらうこともあります。
いずれにせよ、薬剤師は患者の治療に支障をきたさないよう、適切な対応をとる必要があるのです。
患者が他の薬局に行く場合、薬剤師はどう対応すべき?
- 患者の意向を尊重し、他の薬局を案内する
- 他の薬局の在庫確認を代行することが望ましい
- 処方箋の原本を患者に返却し、コピーを保管する
患者が他の薬局で調剤を受けたい場合、薬剤師はその意向を尊重し、他の薬局を案内する必要があります。
その際、患者の手間を少しでも減らすために、薬剤師が他の薬局に電話で在庫確認を代行することが望ましいとされています。
在庫がある薬局が見つかれば、患者にその薬局の情報を提供し、処方箋の原本を返却します。
薬局側では処方箋のコピーを保管しておくことが求められます。
ただし、薬剤師法や医療関連の通知には、薬剤師が他の薬局の在庫確認を代行することを義務づける明確な規定はありません。
あくまでも望ましい対応とされているのです。
患者に他の薬局を案内した上で、在庫確認は患者自身に行ってもらうことも可能です。
ただし、その場合は患者の手間が増えてしまうため、できる限り薬剤師が在庫確認を代行することが患者サービスの向上につながるでしょう。
在庫確認を代行しない薬剤師の言い分とは?
- 在庫確認の代行は義務ではない
- 他の業務で手一杯で対応が難しい
- 在庫確認の電話をしても、実際の在庫とは異なる可能性がある
薬剤師が他の薬局の在庫確認を代行しない理由としては、まず法的な義務ではないことが挙げられます。
調剤拒否が正当化される理由ではありませんが、在庫確認の代行まで義務づけられているわけではないのです。
また、他の業務で手一杯で、在庫確認まで手が回らないという事情もあるかもしれません。
さらに、電話で在庫確認をしても、実際の在庫とは異なる可能性があることも理由の一つです。
例えば、在庫ありと回答されても、その後に他の患者の調剤で在庫がなくなってしまうことがあります。
逆に、在庫なしと回答されても、その後に在庫が入ることもあるでしょう。
電話での在庫確認は確実ではないため、薬剤師が代行することに消極的になるのも無理はありません。
薬局の在庫管理の課題とは?
- 在庫切れを防ぐための適正な在庫管理が求められる
- 在庫の偏在を防ぐ薬局間の連携が必要
- 在庫情報を正確に把握し、共有するシステムの整備が急務
調剤拒否を防ぐためには、薬局の在庫管理の課題にも目を向ける必要があります。
まず、在庫切れを防ぐための適正な在庫管理が求められます。
需要予測に基づいて適量を仕入れ、期限切れによる廃棄を最小限に抑える工夫が必要です。
また、在庫の偏在を防ぐために、近隣の薬局同士が連携し、融通し合うことも重要です。
さらに、在庫情報を正確に把握し、リアルタイムで共有するシステムの整備が急務です。
現状では、電話での在庫確認は確実ではありません。
在庫情報をデータベース化し、薬局間で共有できるようにすれば、より正確な在庫確認が可能になるでしょう。
こうした取り組みを通じて、調剤拒否のリスクを減らし、患者の利便性を高めていくことが求められています。
薬剤師と患者の信頼関係を築くために大切なこと
- 薬剤師は患者の立場に立って、誠実に対応する
- 患者は薬剤師の業務の大変さを理解し、協力する
- お互いの立場を尊重し、コミュニケーションを大切にする
調剤拒否の問題を解決するためには、薬剤師と患者の信頼関係を築くことが何より大切です。
薬剤師には、患者の立場に立って、誠実に対応することが求められます。
在庫がない場合でも、代替案を提示したり、他の薬局を丁寧に案内したりするなど、患者の治療に支障をきたさないよう最大限の努力をすべきでしょう。
一方、患者も薬剤師の業務の大変さを理解し、協力することが大切です。
例えば、お薬手帳を持参して重複投薬を防いだり、後発医薬品への変更に応じたりするなど、薬剤師の業務をサポートする姿勢が求められます。
薬剤師と患者がお互いの立場を尊重し、コミュニケーションを大切にすることで、信頼関係を築いていくことができるのです。
調剤拒否問題の解決に向けて
調剤拒否は患者の治療に大きな影響を与える問題であり、薬剤師、薬局、患者、そして行政が一丸となって取り組むべき課題です。
薬剤師には調剤義務があり、在庫がない場合でも適切な対応をとる必要があります。
他の薬局の在庫確認を代行することは義務ではありませんが、患者サービスの向上につながる望ましい対応と言えるでしょう。
同時に、薬局の在庫管理の適正化や、薬局間の連携強化、在庫情報の共有システムの整備など、調剤拒否のリスクを減らすための取り組みも重要です。
さらに、薬剤師と患者の信頼関係を築くことが何より大切です。
お互いの立場を尊重し、コミュニケーションを大切にすることで、調剤拒否問題の解決につなげていくことができるでしょう。
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